2025年8月3日日曜日

映画「ブルー・ハワイ」と観光1/7

(「映画で知るハワイ」をテーマに映画や動画についてのエッセイを書いています.初回の「ピクチャー・ブライド」はこちら.2つ目は戦争ということで「ゴー・フォー・ブローク」や「パールハーバー」について書きました.ここから3つ目になります.) 

 

「ブルー・ハワイ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか.カクテルの名前で、日本だったらかき氷の種類でもあり,1937年のパラマウント映画「ワイキキ・ウェディング」で主演のビング・クロスビーが繰り返し歌う曲の名前でもある.ここで取り上げるのは,1961年に公開された映画「ブルー・ハワイ」(Blue Hawaii)で,主演はキング・オブ・ロックと呼ばれた大スター,エルヴィス・プレスリーだ.プレスリーが演じるのは主人公のチャド・ゲイツという白人のキャラクターで,ヨーロッパでの兵役を終え,ハワイに戻ってきた場面から物語が始まる.彼の両親はアメリカのメインランド出身の白人で,フルーツ加工会社を経営している富豪だ。しかし、両親からの期待に反してチャドに家業を継ぐつもりはなく,恋人のマイレやローカルボーイの仲間たちと楽しい日々を送っている.物語の中盤から,マイレが勤務するツアー会社で働き始め,最初の顧客となった女性教師と女子高校生たちとのドタバタ劇を繰り広げるというラブコメディーだ.とはいえ、大スターがツアー会社で働いているというのはピンとこないかもしれない。ハワイは1959年にアメリカの50番目の州となり、メインランドからハワイへの人の移動が大きく増加した。だから、観光業は花形の成長産業だったという当時の社会的状況を理解する必要がある。今なら絶大な人気を集めているアーティストがテクノロジー、コンサルティング、あるいは金融業界で働き出したようなものだろうか。