タイトルにあるReckoningは「過去の過ちに対して懲罰を与える」というような意味だ.題名を日本語にするなら「風と報復」となるだろうか.同映画は,コオラウという実在の人物と彼の家族,妻のピイラニ,息子のカレイについての物語である.ハワイ王国では1865年にハンセン病の隔離政策が開始された.感染者はモロカイ島のカラウパパ地区に半ば強制的に隔離されるということが,アメリカの州となった後も1969年まで続けられた.そのような社会的状況で、感染が判明したコオラウは隔離されることを拒否し,カウアイ島の山岳地帯に立て篭もり抵抗したのである.カウアイ島が舞台になっているということで,この大地に吹く「風」がイメージされるかもしれないし,ハワイアン・カウボーイであるコオラウが討伐隊に銃で立ち向かう姿は,人道に反した強制隔離に対する「報復」なのかもしれない.(既知の事実なのでネタバレではないが)最終的には妻のピイラニだけが残された。「報復」(あるいは「報い」)には微妙なニュアンスがあるといえそうだ.