原作者のヘミングスは彼女自身がハワイでの土地相続をめぐる問題を体験したようだ.ヘミングスの祖先はGeorge Norton Wilcoxで,ヒロ生まれのアメリカ人宣教師2世である。カウアイ島で初期の砂糖プランテーションを経営し,慈善家として知られ、ハワイ王国や共和国で要職についた。19世紀に宣教師の子どもたちが通う学校として設立されたプナホウ・スクールの卒業生で、現在もプナホウには彼の名前を冠した建物ウィルコックス・ホールがある。しかし、そもそもGeorge Norton Wilcoxが築いた富は、ハワイの宣教師2世たちが財産を築いたやり方そのもので得られたといえるのかもしれない。だからこそ、プナホウ・スクールのウィルコックス・ホールについても強い批判があるのだろう。元アメリカ大統領のバラク・オバマも通ったことで知られるこのエリート校のウェブサイトを見ると、当該ホールの来歴を説明しているページの末尾にEditor’s Noteと記され、そこにはハワイの歴史は複雑で、中立的な解釈というものは存在しないという趣旨の注釈が付けられている。建物の名前が変更されるのか明らかでないが、同じくオアフ島にあるハワイ大学マノア校では、先住民に差別的な言動や研究をしていた白人研究者の名前を冠した建物名が変更されたことがあるので、同様のことがプナホウでも起こるかもしれない。原作者のヘミングスは、George Norton Wilcoxの兄弟Albert Spencerと先住民女性Emma Kauikeaolaniの子孫であるようだ。(ちなみに、19世紀末に、イタリアに留学して軍事を学び、帰国後、共和国に反旗を翻した先住民系のRobert Wilcoxとは親戚関係にはないようだ。しかし、Wilcoxたちがやってきた米東海岸のニューイングランドまで遡ればわからない。)