しかし、映画の音楽的側面や、配役の妙よりも、ハワイを知るという観点からこの映画に注目すべき理由がある。そもそも、主人公のマット・キングが先祖から受け継いだ土地をどうするか決断を迫られていたというのはどういうことだろうか。まさにこの点に19世紀から現在のハワイまで続く、複雑で解決困難な問題が絡んでいる。物語の中で、マットは先祖から受け継いだ土地の買収案を提示してきたディベロッパーと交渉中だった。巨額の富が懐に転がり込むことになる親族たちは売却に前向きだったが、マットがどのような判断を下すかが取引成立の可否の鍵を握っていた。そんな折、マットは妻の不倫相手がブライアン・スピアという人物であることを知る。スピアはディベロッパーと仕事をしている人物だった。そしてマットは最終的に土地を売却しないという決断を下す。ということは、彼は妻と不倫していたスピアに損害を与えるために、取引しない選択をしたのだろうか。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。この点について、マットが明確に何か述べているわけではない。