2つ目の歴史的場面は,1893年の王国転覆後のカイウラニの行動だ.おじのカラーカウア王が亡くなり,跡を継いだおばのリリウオカラニ女王も幽閉されてしまい,祖国が存亡の危機に瀕していた.カイウラニは,クーデターの首謀者たちがハワイ併合を期待していたアメリカに向かい,アメリカの世論に働きかけようとする.到着した波止場で,記者会見の場を設け,ハワイの状況を説明し,ジャーナリストたちからの質問に答える.ハワイでも,イギリスでも、英語を使っていたカイウラニではあったが,大勢のジャーナリストたちを目の前にして気後れしたように小さな声で話し始める。しかし、勇気を振り絞って,堂々としたスピーチで聴衆たちを魅了し,その様子が好意的に報じられた.その後,ホワイトハウスで,任期満了を控えていたクリーブランド大統領と会食し,直接政治問題を議論することなく,テーブルに置かれた調味料に関する巧みな比喩を用いてハワイの現状を仄めかし,クリーブランドからハワイの状況について前向きな応答を引き出すのだ.