主人公のチャドを除くと,映画の中のキャラクター描写はステレオタイプ的なものが多い.恋人のマイレはポリネシア系とフランスのミックスということになっていて,チャドが他の女性と仲良くしていることにジェラシーを感じつつ,許容する姿勢も見せるというような(ある意味男性にとって都合の良い)設定になっている.また,非白人のアジア系やポリネシア系のキャラクターだと,チャドの実家の豪邸にはまるで執事のような格好をしたキャラクターがいて、「ピンポン」という名前で呼ばれ,満面の笑みを浮かべた陽気な人物だ.同じように,チャドとつるんでいるローカルボーイの1人は,外見はポリネシア系だけれども「イトウ」という日系人名で呼ばれていて,やはり陽気だが、どこか抜けていて、食いしん坊でいじられ役というような設定だ.白人キャラクターだと,チャドの母親が息子を溺愛する,「おバカキャラ」になっていて,そのための効果的な道具立てとして,アメリカ南部訛りの英語を話すという設定になっている.コメディー的な要素が強い映画なので,古びてはいるけれども,アメリカ社会にどのようなステレオタイプが存在するのか知ることができると思う.合わせて重要なのは,主人公であるチャドは一見このようなステレオタイプ的描写から自由に見える点だ.