ポリネシア系のキャラクター、特にプリンセスの描写を見てきたが、彼女たちの描かれ方は、誰がどのような視聴者に向けて作ったのか、また、誰が演じるか、という問題と深く結びついていた。『プリンセス・カイウラニ』のカイウラニ、『鯨の島の少女』のパイラナ、『モアナと伝説の海』のモアナが共通して提示しているのは、ポリネシア系の女性たちによるリーダー像であり、それは一義的にはポリネシア系の視聴者を念頭に提示されているといえる。カイウラニとパイラナはともにポリネシア系の俳優が演じ、モアナはハワイ先住民系の声優が配役されていた。映画ではないが、ハワイでは火山の女神ペレや妹のヒイアカの壮大な冒険の物語が知られており、ひょっとしたらペレやヒイアカの系譜にポリネシア系のキャラクターたちも属しているのかもしれない。
参考文献
原知章 (2013). 「イメージの楽園:日米映画の中のハワイ」.山本真鳥・山田亨(編), 『ハワイを知るための60章』(pp. 318-322).明石書店.