2025年8月22日金曜日

プリンセスの系譜13/14

主人公ではないが,ポリネシア系のキャラクターが脇役として登場する他作品も見てみよう.1961年の『ブルーハワイ』はエルビス・プレスリー主演でハワイを舞台とする映画の1つであるが,エルヴィスが演じる主人公チャドの恋人が,ポリネシア系のマイレ(Maile)だった.(Maileはハワイ語の植物名でもあり,「マイレ」と発音されるが,チャドは英語風に「マイリー」と呼んでいる.)マイレは奔放なチャドに翻弄され,嫉妬心を抱く理由を述べる際に,自分のエスニシティーに言及している場面から、彼女がポリネシア系とフランス系という設定になっていることがわかる.マイレは当時の成長産業だった旅行代理店で働く女性ではあるが,チャドに振り回される存在だ.もう1作品取り上げると,日本の映画「ホノカアボーイ」には長谷川潤が演じるマライアというローカルガールが登場する.ホノカアが日系人が多く住むハワイ島の街という設定を考えると,マライアのエスニシティーがポリネシア系であるかは不明だが,映像ではそのように見えないこともない.傷心の主人公レオが恋する相手であるマライアも,他の登場人物と同じく,外からの訪問者であるレオを迎え入れる存在という意味で,リロとよく似ている。しかし、マライアは脇役で,何か主体的に行動する様子が描かれることはなく、あくまでヘテロセクシャルな男性の視点から描かれた女性キャラクターに留まっている.