一方、2017年版は、ハワイ出身の日系人兵士たちに焦点を当てているのが特徴だ。真珠湾攻撃前後のハワイにおける生活やそれが急変する様子が描かれている。撮影場所がハワイの各地であるという点もリアリティーがある要因だろう。脚本を担当したのは日系4世のステイシー・ハヤシで、音楽は同じく日系4世のミュージシャン、ジェイク・シマブクロが担当した。特に、脚本家のハヤシは、何年もかけて準備を進め、その過程で制作した「チビ」と呼ぶディフォルメされたマンガのキャラクターでコミック本を発表し、2022年にはホノルル・アート美術館で改めて、展示会が催された。イラストレーターのデーモン・ウォンが生み出した「チビ」たちはかわいらしく,多くの犠牲者を出した日系人部隊の物語を世代を超えて語り継ぐのに、どのような方法が最適なのか考えた末に編み出された表現手段のようだ。公立図書館で読む以外は、インターネットを通じて入手することも可能だ。日系人部隊の編成後70年以上が経過してから、日系4世によって生み出された2017年版は、アメリカ・ハワイ州の日系人コミュニティーによる物語を語り継ぐ決意表明であるとともに、この物語を広く共有していく試みでもある。