日系人部隊を扱った映画としては、1951年の白黒映画「ゴー・フォー・ブローク」(Go For Broke)と、もう1つは同じ主題に「始まりの物語」という副題が付いた2017年のGo For Broke: An Origin Storyを紹介したい。「ゴー・フォー・ブローク」とはピジン英語で「当たって砕けろ!」というような意味であり、映画の中では、兵士たちがこの言葉を叫んで突撃するというような場面がある。戦後間もない1951年版はロバート・ピロシュがディレクターを務め、俳優ヴァン・ジョンソンがマイケル・グレイソン中尉を、実際の2世の退役軍人たちが兵士を演じた。物語はアジア系に対して偏見を持つ白人のグレイソン中尉が、徐々に認識を改め、日系兵士たちと強い絆を築いていくというものだ。アメリカのメインランドでの訓練を経て、ヨーロッパ戦線に向かうという流れになっている。映画では、日系兵士たちの描かれ方が興味深く、ハワイ出身の兵士とメインランド出身の兵士が対比されている。ハワイ出身の兵士は休憩中にウクレレを弾いて、フラを踊るのに対し、メインランド出身の兵士はそれを遠くから離れて眺めているという感じだ。また、お互いを「ブッダヘッド」(ゴツゴツした仏の頭のよう)や「コトンク」(頭が空っぽ)と呼び合う。前者はハワイ出身者を、後者はメインランド出身者を(愛情を込めて)からかう表現である。白人将校と日系人兵士たち、ハワイ出身とメインランド出身の日系2世兵士たちの関係性の描写がこの映画の軸となっている。