ここまで、ピジンについて取り上げた映画を紹介してきた。続いて,映画の中のピジン,特にピジンとキャラクター描写について実例を見ていこう。映画に登場するピジンは基本的にキャラクター描写の一環であり,ハワイ社会あるいはより広くアメリカにおけるステレオタイプを利用してキャラクターを描き,そのキャラクターの言動や考え方,さらには住む場所や人間関係について,「ハワイらしさ」を説得的に提示するという働きがある.ただし,キャラクター描写には便利だが、安易に使えばステレオタイプを強化したり、逆にハワイの視聴者に失笑されたりしかねないという危険を併せ持つ。関西出身でないのに,過度に誇張した「関西弁」で話したらどのような反応があるか考えてみてほしい.(このアナロジーは便利なのだが,誤解も生みかねない.しつこいようだが,ピジンは英語の方言ではない!)