最後に、1848年のマーヘレ(Māhele)に触れておきたい。宣教師2世たち(その後のハワイを代表する5大財閥)が築いた財産について否定的なコメントをしてきたのは、当初、布教目的でハワイにやってきた宣教師たちは私有財産を得ることは許されていなかったし、彼らにもそのつもりがなかったからだ。しかし、Schulz(2017)によれば、子どもたちが誕生したことを契機に宣教師たちの心変わりがあった。また、伝統的なハワイ社会ではアーイナ(大地)はモーイー(王)に帰属し、アリイ以下に分け与えるとしても、私有とは異なり、モーイーの意向次第で、あるいは新たなモーイーが誕生すると、一旦全て召し上げとなり、それから再分配されるというようなシステムだった。モーイー以外が土地を所有するということはなく、外国人が土地を所有することも許されていなかった。