2025年9月3日水曜日

The descendantsの世代を超えた苦悩11/12

1848のマーヘレ前後の伝統的ハワイ社会の変容を克明に論じたのが1992年のリリカラー・カメエレイヒヴァによる著作Native Land and Foreign Desiresである。2022年にはハワイ合同教会会議(HCUCCが公開したオンラインのレクチャーシリーズの中で、ハワイアン・スタディーズの研究者3名が、19世紀ハワイ社会の変容をマーヘレ、キリスト教、ハワイ併合の観点から論じた。マーヘレについて詳しく解説したのは、歴史家のドノヴァン・プレザ(Donovan Preza)で、彼の主張の要点は、カメハメハ3世が土地の私有を可能にしたため,ハワイ先住民が土地を失うことになったという歴史理解は、非ハワイ先住民がハワイの多くの土地を所有する現状を正当化する主張に過ぎない、というものだ。換言すれば、ハワイ先住民が土地を失うことになったのは、マーヘレが決定的な要因ではなく、1893年の王国転覆(白人勢力によるクーデター)とその後の法改正で、王国政府の土地だけでなく、王族の私有地まで不当に収奪したからだ、ということになる。プレザは先住民と非先住民による購買行動を比較し、例えば、ハワイ島プナ地区では王国転覆後の8割以上の土地購入が非ハワイ先住民によるものであったという事例を紹介し、ハワイ先住民が土地を失い,同時に誰かが土地を獲得していく過程を克明に語った。