「ブルー・ハワイ」は日本でも公開されたが、その焼き直しのような作品として1963年には歌手・俳優の加山雄三の若大将シリーズで「ハワイの若大将」なる作品が公開された。日本の視聴者はプレスリーと加山を重ね合わせていたかもしれない。ちなみに、若大将こと田沼雄一は京南大学(慶應?)ヨット部キャプテンという設定で、西北大学(早稲田?)とライバル関係にあったということになっている。1960年代の日本がどのような状況にあったかというと、よく知られているように、1回目の東京オリンピックが行われたのが1964年であり、日本が戦後復興を世界にアピールしようとしていた時代だ。同年には東京・新大阪間の新幹線が開通したり、海外渡航が自由化されたりした。日本が目覚ましく発展しているとはいえ、1ドルが360円で海外旅行が今ほど身近なものでなかった時代に、映画「ブルー・ハワイ」が提示する世界はとても魅力的に映ったに違いない。
参考文献
Elvis and the USS Arizona(2021)