しかし,アメリカのクリーブランド大統領や視察団の代表者たちがカイウラニの訴えに対して前向きな発言をし,先住民が置かれた窮状に同情的な態度を示しているような描写は,アメリカがその後1898年にハワイを併合した事実と相容れない.これと関連して,映画の中では,王国転覆の首謀者である宣教師2世たちの中で,ロリン・A・サーストンが「悪役」として描かれているのに対し,サンフォード・B・ドールが先住民に同情的でカイウラニを支援するという好意的な描かれ方をしているのを目にすると,こうした描写が矛盾しているというより,制作者の意図や映画制作の資金の出所について勘ぐりたくなってしまう.サーストンもドールも,王国を転覆した集団のメンバーであり,ドールは共和国でも,併合後の準州でも、大統領を務めたのだから.