2025年9月20日土曜日

ハワイ語は生きる!というメッセージを発信するドキュメンタリー9/14

「言語は大切だ」(Language Matters with Bob Holman)は,PBSで放送された2014年のドキュメンタリーで,詩人のボブ・ホルマンがナビゲーターを務め,デイヴィッド・グラビンによって映像化された.英語でしか視聴できないが,日本語では紹介されていない映像や語りを多く目にすることができるのでお勧めだ.主題は世界の消滅の危機に瀕した言語で,約2時間かけてオーストラリアのアボリジニーの言語,ウェールズ語,ハワイ語の3つ事例を順番に紹介していく.実は3つ目のハワイ語に関する部分が最も充実している.主にインタビュー,歴史的資料,現代ハワイのさまざまな映像から構成されているが、エピソードや映像は必ずしも時系列に提示されていないので,いろいろなエピソードや映像に触れてから,改めて,ハワイ史を振り返ると良い学習になると思う.特に生徒として英語の使用が強要されたクプナがハワイ語が禁じられていることを嘆くのではなく、英語を身につけてやると闘志を燃やしたという語りが印象的だ.このようにクプナへの聞き取りを行い,イマージョンスクールの教師や生徒たちを訪問したりしているのに加え,出演者としてハワイ語の言語の再活性化運動の重要人物たちが次々に登場する.例えば,クムフラでミュージシャンのケアリイ・レイシェル,ハワイ大学の教員で再活性化運動を支えてきたラリー・キムラや(「オラとは?」にも出演していた)カウアノエ・カマナー,19世紀のハワイ語新聞の研究で知られるプアケア・ノーゲルマイヤーや歴史家のカウイ・サイ・デュドイト,現在でもハワイ語がコミュニティーの生活言語であり続けているニイハウ島出身の母語話者ロレナ・ニコラスといった具合だ.(ちなみに,なぜか特典映像として,ケアリイ・レイシェルのハラウのコンサート映像が一部収録されている.ドキュメンタリーには組み込めなかったが,収録しないのはもったいということだろうか.)