2022年12月1日木曜日

継続中

10月20日に読み始めたカマカウの本ですが,最近ペースを上げ,全60章の半分まで来ました.この調子で読めば年内には読み終わりそう.最初の2/3がカメハメハの話,残りの1/3がリホリホ以降の話になっているようです.来年,英訳が出るそうなので,そうしたら一緒に読み返してみるつもりです.

カマカウによるハワイの歴史はこれでもまだ別の1冊があるわけなので,それはまた来年になるでしょう.

カマカウによる文章は数冊の本としてバラバラに出版され,様々なタイトルが付けられていますが,元の新聞記事の順番で編集し直されて,全て1冊(もう1冊ありますが)にまとめられて通しで読めるのはこれだけということになります.

19世紀のハワイ先住民の歴史家といえばカマカウですが,文章中には固有名詞が多く,詩も引用され,当たり前ですがとても博識だったのだという印象です.主に18世紀のアリイたちの活動を記しているのですが,思いの外,残忍な出来事に関する記述が頻出し,それについてキリスト教的な観点から批判しているような記述もあります.また,ところどころ,引用部に英語(主にアリイがNoという)が登場したりすることもあります.内容はもちろん,カマカウのスタイルが興味深いです.

ここまでのところで個人的に特に印象的だったのは,カイアナ(Kaʻiana).Chang (2016)の著作などで言及されているように,欧米の船に乗船し,18世紀の末にハワイの外の世界を目にした人物の一人です.ハワイに戻ってきた後,カメハメハの陣営に加わったと理解していましたが,故郷のカウアイ島に戻る途中で反逆者として認識されてしまい,結局,オアフ島ヌウアヌ周辺での戦いで命を落としたことが記されていました.カマカウはカイアナがタヒチと中国に行ったと記していますが,彼がイギリスに行ったことは触れていませんでした.当時のハワイでもカイアナがどのような体験をしてきたのか,博識なカマカウでも全てを把握していなかったのかもしれないという点が印象に残りました.