実在のプリンセスを描いた伝記的作品としては2010年に公開された『プリンセス・カイウラニ』(Princess Kaiulani)がある.カイウラニは,ハワイ王国7代目の王カラーカウア,8代目の女王リリウオカラニの姪にあたり,王国の未来を担う後継者の1人として期待されていたが若くして亡くなった人物である.映画がフォーカスしているのは,彼女が10代だった1880年代後半から、亡くなった1899年までとなっている.カイウラニの母親はカラーカウアとリリウオカラニの妹に当たるリケリケで,父親はスコットランド出身の実業家アーチボルド・クレッグホーンで結婚後は王国議会の議員などを務めた.映画の中で,父親のクレッグホーンはカイウラニとともに行動する様子が描かれているのだが,早くに亡くなった母親のリケリケとの関係性は冒頭の回想場面を除けばほとんど描かれていない.